第25章 幸せ
母「晴れてよかったわね」
『うん』
母「桜も満開で本当に良い日だわ。伊織さんとの祝言の日もね、今日と同じように桜が満開に咲いた、よく晴れた日だったわ」
その日のことを思い出しているのか、窓から見える桜を見て、母様はとても幸せそうな笑みを浮かべていた。
それにつられて、私も桜を眺める。
母「璃咲」
『なんですか?』
桜から母様に目線を移すと、母様は眉を下げ、泣きそうな、だけど嬉しそうな表情をしていた。
母「あなたは土御門家の次期当主という重荷を背負っていたために昔から滅多に弱みをみせない子で、いつも無茶ばかりして。いつか自分を滅ぼすのではないかと、わたくしはずっとそのことばかりが心配だった」
『母様...』