第25章 幸せ
四月 快晴
桜が満開な今日、私と春水は祝言を挙げる。
五大名家のトップである土御門家の次期当主と上流貴族の次男の結婚ということもあり、多くの参列者が集まった。
母「綺麗よ、璃咲」
白無垢を着た私を見て、母様は目尻に涙を浮かべて微笑んだ。
ここは土御門邸の桜の間。昔から土御門家では新婦は桜の間で待機し、新郎は桜の間へと新婦を迎えに行くというしきたりがある。そして二人で式が執り行われる麒麟の間へと行くのだという。
春水が迎えに来るまではまだ時間があるだろうし。
もう一度、式の流れを確認しておこうと立ち上がろうとすると、母様に呼ばれた。
『どうかなさったの?母様』
母「式が始まったら、ゆっくり話もできないでしょう?だから、今のうちにと思って」
目の前に座るように言われたので、衣装にシワがつかないように気をつけて座った。