第25章 幸せ
母「それと同時に、自分を情けなく思ったわ」
母様は零れ落ちる涙を拭くこともせず続けた。
母「あなたが泣くのを我慢し、心を殺していく度に、笑顔を失っていくのを見るのが辛かった。わたくしはあなたの母親なのに、あなたに何もしてあげられない。それが......とても情けなかった」
『そんなことないっ』
母様はいつも私のことを気にかけてくれていた。泣いているのを知られたくなくて、一人部屋に閉じこもっていた時、いつの間にか部屋に来ていて抱きしめてくれた。嫌なことがあっても、いつも笑って聞いてくれた。
本当に感謝してもしきれない。
母様は手巾で涙を拭き取ると、さっきとは打って変わって嬉しそうに笑った。
母「だからこそ、春水さんと付き合うことになったと聞いた時は嬉しかったわ」