第24章 最終決戦
専属の医者がいるってことは、相当ご立派な家の令嬢なんだろうか。身綺麗だし。
その感は当たり、連れていかれた場所は物凄くでかいお屋敷だった。中央の屋敷を囲むように建てられていた屋敷も大きかったけど、中央の屋敷は比ではない。思わずあんぐりと口を開けてしまった。
女性はそんな私を気にすることなく、スタスタと進んでいく。着いた場所は私が住んでいたあばら家の何倍もある部屋だった。
敷かれていた布団に寝かされ、あれよあれよという間に診察が終わった。
いつの間にか寝ていたらしく、目を覚ますと隣にあの女性がいた。
『起きた?怪我はどう?』
蝶「あ、大丈夫、です。ありがとうございます」
『いいえ』
沈黙が流れる。どうすればいいのかわからなくて、とりあえずお礼を言ってなかったのを思い出した。
蝶「あの」
『ん?』
蝶「今更ですけど、助けてくれてありがとうございました。治療までしてもらって」
『あぁ、気にしないで。虚を倒すのが私の仕事でもあるし。あなたを助けたのは、偶然近くにいたから。お礼言われるような事は何もしてないよ』
蝶「虚?」
虚って何?さっきの化け物のこと?それが仕事ってことはこの人、もしかして死神?刀持ってるし。
蝶「あの、もしかして死神ですか?」
『そうよ。所属は言えないけど。あ、でも後ろの字見たか』
「まーいいや」と一人完結させる女性。後ろの字って、さっきの〝零〟の字のことだよね。なんで言ったらいけないんだろう。秘密なのかしら?
『私は土御門璃咲。ここの娘。あなたは?』
蝶「土.......っ!?」
唖然とした。道理でこんなでかい家に住んでるわけだ。土御門家といったら、5大名家の筆頭、全ての貴族の頂点に立つ名門家。私ですら知ってる大貴族。
一生縁のない雲の上の存在が目の前にいて、しかも、今現在その屋敷でぐーたらと寝ていた私.......
ヤバい、ヤバすぎる。何がどうとかわからないけど、とにかくヤバい。格が違いすぎる。死刑!?斬首!?どうしよう!!危機免れたと思ったら、とんだダークホース!!どうしよう!!
頭ん中ぐるんぐるんの状態のまま、とりあえず床にぶつかる勢いで頭を下げる。