第24章 最終決戦
当然勝てるわけがなく、私はすぐにやられて、瀕死の状態だった。仰向けに倒れ、近づいてくる化け物を霞んだ目で睨みながら、全てを呪った。
なんで宏明が死ななきゃいけなかったの?
なんで、私は生きているの?
なんで私はこんなにも弱いの?
なんで、こんなにも世の中は不平等なの?
なんで、なんで、なんで.......っ!?!?
目尻から一筋の涙が地面へと落ちた。
とうとう化け物が目の前にやってきて、手をあげた。
あぁ、死ぬんだ、と思った。でも、もういいか。死ねば、宏明のところに行ける。楽になれる。もう盗みも喧嘩もしなくていい。もう全てがどうでもいい。
全てを遮断するように目を閉じた。その瞬間、
『諦めるな!!』
その声がした瞬間、化け物は半分に斬られていて、そのまま悲鳴をあげながら消えていった。
目の前には綺麗な黒髪の女性。彼女の手には初めて見る刀。そして、白い羽織には〝零〟の文字が記されていた。
蝶「だ、れ.......?」
ガラガラな声でそう呟くと、女性が振り返った。彼女を見た瞬間、ハッとした。
すごく綺麗だった。
紫と金に輝く神秘的な瞳も、真っ白な肌も、全てが整った容姿も。そして、纏う雰囲気も、全てが洗礼されていて美しかった。この世の全ての輝きを集めたかのような、そんな存在に感じられた。
『大丈夫、あなた?』
蝶「.......え」
『怪我は?って、聞くまでもなく酷そうね』
突然声をかけられて固まる私を他所に、女性は眉を下げると刀をしまい、なんと私を横抱きにした。
蝶「え、は?え?」
『とりあえずりっちゃんに診てもらうか。いや、それだと他に見つかる可能性が大だから、屋敷に連れていくのが一番か』
「え、あの、」
りっちゃん?屋敷?一体なんの話?どこに行く気なの?
蝶「あの!ど、どこに行く気です.......か?」
口を聞くのもはばかられて、だんだんと小声になってしまった。だけど、女性はしっかり聞こえていたようで、「私の家に行く」といった。
『あなた、怪我酷いし。私の家なら専属の医者がいるから診てもらえるもの』