第7章 罠と虐め
部屋には婆やが命じておいたのか、布団が用意されていた。
『さすが婆や。抜かりないね』
「あぁ」
璃久の手を借りて、布団に横になる。
あー、痛い痛い痛い。あいつら、次会ったら絶対に沈めてやる。
ブツブツ文句をたれていると、
「悪い、璃咲」
静かだった璃久がポツリと呟いた。
『なに?突然謝ったりして。らしくない』
「俺が早く気づいていれば、お前にこんな怪我させなくて済んだのに」
膝に置かれた手は白くなるほど強く握られていた。
『大した怪我じゃないから大丈夫だよ。璃久のせいじゃないよ』
「そうだとしても...」
『私が自分で選んだことなんだから、気にすることはないよ』
起き上がろうと腕に力を込めるが、お腹に激痛が走り、断念する。代わりに左手を璃久の手に重ねた。