第21章 拒絶
立ち上がる璃久の手を掴んで、無理やり座らせる。
「だけど.......っ」
『私は前に進みたいの!!お願い.......』
璃久の手をぎゅっと握りしめる。
『正直、璃久ですら怖い.......だけど、乗り越えなくちゃ.....いけないから.......だから、ここにいて.......』
足も手も、身体中の震えが止まらない。気を抜いたら吐きそうなくらい気持ちが悪い。
それでも手に力を込めて、璃久の手を離さない。
「わかった.......ここにいる」
『ありがと.......』
手を離すと、さっきと同じところに座った。
水をひとくち飲んで、呼吸を整える。
『みんなの様子はどう?って言っても、双子と蝶羽はよく来るから元気なのは知ってるけど』
「功雅も駿も元気だよ。仕事もちゃんとやってるし」
「そう、よかった。サボってなくて」
駿はちゃんとやってくれるけど、功雅は隙あらば女の子とデートに出かけるからね。ちゃんとやってるのならいいや。
『弦真は.......見つかった?』
「いや、まだ姿を現さない」
『.......どこに隠れてるんだろうね』
どこにいるのかはわからない。だけど、多分、私が復帰したらまた姿を現す。根拠のない憶測だけど、どこか自信がある。