第21章 拒絶
流れる涙をそのままに、肩を震わせる。
あれから春水には一度も会ってはいない。春水だけでなく、璃久にすら会っていなかった。
会いたいとは思っても、体と頭がそれを拒否するのだ。
『春水.......っ、会いたいよ.......っ』
未だに覚えている弦真の熱を早く忘れさせてほしい.......
両肩を抱く私を、母様は優しく抱きしめてくれた。
しばらくして落ち着くと、上を向いて母様を見た。
『母様、お願いがあります』
優「これでいいの?」
『うん。ありがとう』
持ってきてもらったのは、紙と筆。
用意してもらった机にむかって、座ると返事を書き始める。
しっかり書類を片付けること。
伊勢副隊長を困らせないこと。
酒を飲みすぎないこと。
十四郎は体調を気をつけること。
そして、最後に
───────私も早く会いたい
震える手を抑えながら書きあげると、母様に渡す。
優「璃久に渡しておけばいいのね?」
『うん。お願いします』
母様が部屋から出ていくと同時に、また涙が溢れ出す。
『会いたいよ.......っ』
会いたい。会って抱きしめてほしい。口付けしてほしい。
だけど、未だに夢に見るあの光景。
過去を、恐怖を乗り越えなければ、前には進めないと烈ちゃんもみっちゃんも言う。