第21章 拒絶
手には入れられなくても、壊すことはできた。
未だに、男の人と会うことは出来ない。空夜くらいなら大丈夫だけど。
弦真は満足したのだろうか.......
体を起こし、障子窓に近づく。すると、ちょうど母様が入ってきた。
優「あら、起きていたの?」
『うん。寝ているばっかなのは飽きたから』
優「それもそうね。そうだわ、これ」
母様が運んできたのは、私の好きなモンブランだった。
優「璃久が買ってきてくれたわよ」
『さすが、お兄ちゃん』
一緒にいるだけあって、妹の好物ちゃんと分かってる。
優「それから、これを預かったわ」
差し出されたのはひとつの手紙。
中を開いてみると、見慣れた字が並んでいた。
『これ.......』
手紙を持つ手が震える。
優「璃久が一緒に持ってきたの。京楽さんからあなたにって」
『.......』
優「なんて書いてあった?」
『.......っ、伊勢副隊長に怒られたことや.......十四郎とお酒飲んだこと.......』
優「それから?」
『.......っ、会いたいって.......』
溢れ出した涙がこぼれ落ち、文字が滲んでいく。