第21章 拒絶
『いやっ、やめてっ、来ないでっ!!』
烈「璃咲、落ち着いてっ!!ここにはあの人はいない。大丈夫よ!!」
『いやぁ……やめてっ……お願いっ、助けて……っ』
婆「お嬢様っ、お体に障ります!!落ち着いてください!!」
『いやっ!!誰かぁっ!!』
そう叫んだ瞬間、馴染んだ伽羅の香りが全身を包んだ。
優「璃咲、落ち着いて」
『はぁ……っ、はぁっ、はぁ……っ』
優「大丈夫」
『はぁ……っ、母……さま……っ』
私を抱きしめてる母様は、落ち着かせるように優しく背中を叩く。
『はぁっ……うぅっ……うっ……』
優「大丈夫、大丈夫だから……っ」
嗚咽の声を漏らしながら、胸に顔を寄せて泣く私を、母様も泣きそうになりながら、強く強く抱きしめる。
優「怖かったでしょう。一人で……よく……っ、耐えたわね……っ。助けてあげられなくて……っ、ごめんね……っ、ごめんね。だけど……っ、生きててよかった……っ」
『うぅぅ……っ、わぁぁぁあぁあっ!!』
母様の言葉に何かが吹っ切れたように泣きじゃくり始めた私を、母様はずっと背中を優しく叩きながら抱きしめてくれた。
どのくらい経ったのか。そのまま身を任せていると、呼吸も落ち着いてきて、意識がだんだん薄れてきた。
それに気づいた母様は、ゆっくりと私の体を褥に横たえた。
優「おやすみ、璃咲」
それを最後に、私はまた、暗い空間に引き戻されていった。