第21章 拒絶
頭を撫でる暖かい何かに、ゆっくりと目を覚ますと、見慣れない天井と目を真っ赤にした母様が目に入った。
優「璃咲、よかった……っ」
『か……ぁ……』
喉が塞がったように、声が出ない。
『ここ……は……』
優「ここは麒麟殿の一室よ。伊織さんがここに連れてくるように命じたの。今、水を持ってくるからね」
私の頭を一撫ですると、母様は出ていった。
周りの音も人の声も聞こえない静寂の空間。一人になった瞬間、あの時の悪夢がまるで私を攻撃するかのように頭のなかを巡る。
(「みーつけた」)
『いやっ……』
(「もうお前は俺のものだ」)
『やめて……っ』
(「諦めろ」)
『来ないで……っ』
(「もう遅い」)
『いやぁぁぁぁぁぁあっ!!!』
バタバタッ─────バンッ!!
優「璃咲っ!?」
婆「お嬢様!?」
悲鳴を聞いた母様と婆や、それと何故か烈ちゃんが慌てて部屋に入ってきた。
だけど、周りが全く見えてない私は、頭を抱えて泣き叫びつづける。