第20章 崩壊【R18】
「すみません、京楽隊長」
京「いや、いいよ。親父さんが言っていたことは正しいからね」
ヘラヘラと笑う京楽隊長は、それでいてとても痛々しく見えた。
京「璃咲ちゃんは今どこにいるのかな?」
「あいつは今、邸で最も安全な場所である麒麟殿にいます。霊王から賜った結界が何重にも張られているので、親父の許可がなければ入るどころか、近寄ることすらできません」
京「そっか……」
京楽隊長はそれっきり黙ってしまい、隊首会もお開きとなった。
璃咲がいない以上、副隊長の俺がしっかりしなきゃいけない。
わかってはいるが、苦しんでいる片割れを思うと、何も手につかない。それは零番隊のみんなも同じらしく、こうして隊首室に集まっている。
朝「ねぇねぇ、璃久兄」
「どうした?」
今にも泣きそうな朝海がギュッと袖を掴んできた。
朝「璃咲姉、戻ってくるよね?」
「朝海.......」
事が事なだけに、まだ幼い朝海と空夜には詳しい話をしていない。ただ、大怪我をして、療養中だとしか知らされていないのだ。
だから、同じ家に暮らしていながら、何故会えないのか、どうしているのかと不安に思っていることはわかっていたが.......