第20章 崩壊【R18】
あいつは今、土御門邸の麒麟殿で療養中だ。
麒麟殿は邸の最奥にある。霊王から賜った何層もの強力な結界が張られ、当主の許可がなければ入るどころか、近寄ることすら出来ない絶対不可侵の場所。それと同時に、尸魂界で最も安全な場所だ。
事の次第を聞いた親父は、連れて帰ってきた璃咲をそこに運ぶように厳命し、お袋と婆や以外の者に結界に近づくことすら禁じた。
「あんなにキレていた親父は見たことがねぇ」
璃咲を麒麟殿に連れていった後、親父はその足で瀞霊廷へと向かった。右手には自分の斬魄刀を持って。
殺気がダダ漏れの親父に、その場にいた俺と功雅も慌ててついていった。
黙ってついていくと、親父は一番隊の隊首室へと向かっていく。
バンッ──────!!!
「「「「「!?」」」」」
突然勢いよく開いた扉に、中にいた隊長格はこちらを凝視した。しかし、親父は気にすることなく山じいに近寄る。
伊「邪魔するぜ、じいさん」
山「伊織か。何用じゃ」
伊「頼みがあってな」
山「……申してみよ」
親父は左をちらっと見ると、卯の花隊長を指さした。
伊「まず、そこの四番隊隊長さんを土御門邸に寄越してもらう」
山「なに?」
もはやお願いではなく、これは決定だと言わんばかりの口調だ。