第20章 崩壊【R18】
『返......して』
弦「あ?」
『指輪を......返して』
あの指輪があれば、春水が傍にいてくれる気がする。この状況でも、冷静になることができる。
『お願いっ、あの指輪だけは返して......っ』
弦「あの指輪がそんなに大切か?」
何度も何度も首を縦に振る。
弦「あいつに貰ったものだからか?」
突然無表情になった弦真は、首にかけている手に力を込めた。
『ぐっ......はぁ......っ、やめ......っ』
弦「そういや言ってたもんな?京楽春水にもらったって嬉しそうに微笑んで。お前のこの目の色と同じだって」
弦真の指が私の右目の周りをゆっくりと撫でる。
弦「その時から気に入らなかったんだ、あの指輪。だから、真っ先に処分してやったよ」
『.....っ』
弦「斬魄刀で斬ったら、あっさりと半分になったぜ?そうなっちまえば、もう価値とねぇからな。その辺の川にでも捨ててきた」
『そん......な......っ』
どんな時でも肌身離さずつけていた指輪。春水と別れていた間も、恋しくて、ずっとつけていた。
だけど、一種の精神安定剤のようなものだったあの指輪はもうない。