第17章 まさかの事態
『誰か管理表を持ってきて』
「はい!!」
この監獄にいる奴らを監視する者たちは、必ず氏名と担当する時間を管理表に書かなくてはならない。
「持ってきました!!」
『貸して』
管理表を受け取り、子の刻に書かれているはずの名を確認する...が、
『名前が...書かれていない?』
どういうこと?単なる書き忘れか?いや、その可能性は低い。なら、あえて書かなかった?
『交代に来たその男、どんな顔だったか覚えてる?』
「いえ...見えませんでした」
『見えなかった?』
「はい。フードを深くかぶっていて」
『そう...』
もし、その男が逃がしたとしても、あの女を逃がして何になる?家に力があるわけでもなく、本人の力も決して強くはない。