第5章 新たな日常
それが璃久にとってどれだけ負担を強いているのか、自分にはよくわかる。だからこそ、こうして顔を合わせる度に申し訳ない気持ちでいっぱいになるのだ。
『ほんとにごめんね...』
もう一度謝ると、
『...っ!?』
わしゃわしゃと頭を乱暴に頭を撫でられた。
『ちょ、ちょっと!!髪がぐしゃぐしゃになっちゃったじゃん!!何してくれるのよ!!』
女の髪を乱暴に扱うだなんて!!
そう怒ると、何故か璃久は嬉しそうに笑った。
「あははははっ、それでこそ璃咲だ」
『はぁあ?』
「お前が謝ると気持ち悪いんだよ。俺が好きでやってることなんだから気にすんなって言ってるだろ?それにもう何十年もこの生活してるんだ。今更だよ」
「だから気にすんな」と璃久は私の頬をつまみながら言った。
『......わかった。もう気にしない。それより、今日はどうしたの?』
「書類を届けに来ただけだ」
璃久は手に持っていた書類を振りながらそう言った。
『はぁ、また書類.....わかった、ありがとう。ここに置いといて』
「あぁ」
璃久は書類を置くと、そのまま扉に向かっていく。
『もう帰るの?』
「あぁ、用事も済んだしな」
『じゃあ、私も行く』
筆を置き、書類を片付ける。
メガネは......かけたほうがいいか。
「璃咲ー、行くぞ」
『あ、待ってー』
隊舎から出て、二人で歩き出す。
「どこか行くのか?」
『うん。技術開発局に』
「書類を届けにでも行くのか?」
『私のどこを見たら書類を持っているのよ。朝海に新しく霊圧制御装置を作ってもらおうと思って』
そう言うと、「あぁ」と納得した。
「そういや、少し霊圧上がったよな」
『やっぱり?』
璃久も気づいてるってことは零番隊のみんなは気づいてるか。
『それなら尚更早く作ってもらわないとね』
璃久の腕に抱きつく。璃久も払うことなくそのまま歩き続ける。