第16章 斬魄刀異聞
「璃咲はわらわの主であり、娘のようなものじゃ。京楽よりも長い付き合いだと言うのに、璃咲は京楽のこととなるとわらわを見る気もせぬ」
「忌まわしい奴じゃ」とこの世のものとは思えないほど麗しい顔をゆがめる赤。
これは...
『やきもちですか?』
「悪いか?」
『あ、いや、別に』
開き直る赤に苦笑する。
斬魄刀もやきもちを焼くんだ、新発見。
『赤のことも同じくらい大切だよ』
「同じくらい?」
『ふふふ、二人ともなくてはならない存在』
「...まぁ、よい」
少しは機嫌が治ったかな?
「ここはいつ見ても美しい」
満足げに海を見る赤は持ち主の私から見てもとても綺麗だ。
地面についてしまうほどの長い深紅の髪。
雪のように白い肌。
赤瑪瑙の耳飾りに、それと同じ色の切れ長な二重。
柘榴のような紅唇に、頬を彩る淡い臙脂。