第15章 つかの間の幸せ 【R18】
「もしものときなんて言うな。お前は俺が守る。約束しただろ?」
『......そうだったね』
(『璃咲は俺が守ってやるよ。兄貴だからな』)
次期当主という肩書きに耐えられなくて泣いていた私に、璃久はそう言ってくれた。
「前みたいには絶対にさせねぇ。絶対に...っ」
『うん』
抱きしめる腕を強くする璃久は震えていた。
そっと背中に手を回す。
『(春水とは違った安心感があるなー)』
どちらが安心するかと聞かれても答えられない。二人とも別の安心感をもたらしてくれるから。
『死なないよ、絶対に』
「あぁ」
『無駄に生命力は高いからね』
「知ってる」
『うん』
ゴキブリ並の生命力だからね。
目を閉じると、頭を撫でてくれる。
『寝ろ』
「うん。おやすみ」
『おやすみ』
頭を撫でる手の優しさに、直ぐに意識は沈んでいった。