第15章 つかの間の幸せ 【R18】
月明かりすらない、漆黒の空間。まるで闇に飲み込まれたかのようだ。
起きてるであろう片割れに小さな、それでもしっかりと聞こえるくらいの声で話しかける。
『ねぇねぇ、璃久』
「なんだよ」
寝かけていたのか、少し不機嫌な声音に「くすっ」と笑う。
『あのね......もし、今起きてる事件の首謀者が弦真なら...』
「.........」
『今度こそ、私は春水を裏切ることになると思う』
「.........」
『だからね?もしものときは...』
「言うんじゃねーよ」
向かいあわせで抱きしめられ、おでこをくっつける。
璃久は小さい頃から私が不安になると、こうやっておでこをくっつけるくせがある。