第15章 つかの間の幸せ 【R18】
土曜日、快晴
『すごい綺麗...』
目の前には涙が出そうなほど美しく、圧倒される桜の木々たち。
春水が連れてきてくれたのは、尸魂界有数の温泉地だった。
ここは温泉地であるとともに、桜の名所としても名高いところで、私がずっと来たくて仕方がなかったところだった。
『(覚えててくれたんだ...)』
あの事件が起こる前、二人で夜桜を楽しみながら晩酌している時にポツリと呟いた言葉を春水は聞き取っていたらしい。
「璃咲ちゃんのことならなんでもわかるよ、おじさんは」
『変態オヤジ』
「Σ酷いよ、璃咲ちゃん!!」
『ふんっ........でも』
春水が来ている着流しの袖をちょっと掴む。
『ありがとう、春水』