第3章 いつもの日常
『まず、私が食べている間は何をするなって言ったっけ?空夜』
薄水色の髪の少年、もとい空夜に対して〝にこやか〟に微笑む。
空「え、えっと...邪魔しない?」
『そうよね?じゃあ、朝海』
朝「は、はい!!」
空夜の隣で縮こまっている薄桃色の髪の少女、朝海に視線を移す。
『なんでいきなり抱きついてきたの?いつも食べている時は抱きつくなって言っているよね?』
朝「えっと...璃咲姉が起きてたからつい...」
『へぇー、つい......ね』
朝/空「(コクコク)」
『その〝つい〟で私のモンブランが床に落ちたのよ?え?二人とも?(ニッコリ)』
朝/空「ひっ、ご、ごめんなさーい!!!」
『謝れば許されるとでも?』
モンブランの恨みは恐ろしいんだから!!
たとえ、
朝/空「ごめんね、璃咲姉(ウルウル)」
こんなに可愛い顔をしていたとしても。
負けるな、私!!ここで許したら、また同じことをやらかす...
そう思いつつ、両腰に抱きつく双子を見る。
朝/空「(ウルウル)」
『ぅぅうう』
「もういいだろ、璃咲。許してやれ」
『でも...っ』
見かねた璃久が助け舟を出すが、私の中の天使が「ここで折れたらまた同じことをするわ!!絶対に許しちゃダメ!!」と言うので心を鬼にする。
『ダメなものはダメ!!』
朝/空「(ウルウル)」
『だってモンブランが...』
朝/空「(ウルウル)」
『モンブラン...』
朝/空「(ウルウル)」
『モン...』
朝/空「(ウルウル)」
『.........』
朝/空「(ウルウル)」
『.........ぅう、わかったよ。今度からは気をつけてね』
朝/空「はーい!!」
結局許してしまった。私の心の中では天使を蹴飛ばした悪魔が「ほら見ろ」と笑っている。くそっ、末恐ろしいわ、この双子め。
ため息をついて、残りのモンブランを食べる。