第9章 襲撃
とにかくだらしない顔。
それでも、
『(懐かしい表情...)』
そんな顔でも愛おしいのだ。
だからこそ、ここには長くいられない。
『(早く離れよう。それに...)』
先程からずっと気になっていることもあるし。
京楽から視線を外し、体を翻す。
京「あ、ちょっと...」
『もう少し......もう少ししたら...わかるよ』
京「なにがだい?.」
『さぁね、内緒』
彼女は少し振り返って笑った。
その瞬間、
京「......っ」
長い漆黒の髪とアメジストのような紫の右目が見えた。
『じゃあね』
京「ちょっと待......っ!!!」
言い終わる前に彼女は瞬歩でいなくなった。