第14章 Master★【キラR18】
「どうぞ…こちらです」
お屋敷の最南端にある客間に案内したのはいいけど、キラ様は依然として具合が良くないみたい。
部屋を案内するときも終始無言のキラ様に、さすがに気まずさを感じずにはいられないほどだった。
「あの…マルキオ様のところには『今夜キラ様がこちらにお泊りになる』とお伝えしてありますので…」
「ありがとう…その方が助かるよ」
苦しそうに笑うキラ様に、つい目を逸らしてしまった。
こういう時は…やっぱり私なんかよりアスラン様やカガリ様がついてた方がいいかもしれない。
でも、『お任せ下さい』って言った身ですし…。
頭の中で大葛藤。
ここにいるべきか、誰かを呼ぶべきか…。
もちろんここにいたいのが本音だけど、さっきから伝わるキラ様の視線に耐えられそうにない。
「それでは、私は失礼致しますね…」
『小心者』の言葉が、今の私にはすごく似合ってると思う。
気まずそうに俯きながら、早々に部屋を立ち去ろうとしてしまう私。
いつもはこんなことないのに。
でもそう言うのなら、キラ様が今まで以上に私を見てるのも『いつものこと』じゃないから、これでおあいこかな。
「行っちゃうの…?」
「え…っ?」
自分で変な理由を考えながら、カガリ様達を呼びにいこうと、部屋のドアを開けた瞬間。
ドアノブを掴む私の手がギュッとキラ様の手で握られていた。
「ダメ…。行っちゃだめだよ……」
ほんの少し開いた扉をバタンと閉められて、私の身体はキラ様とドアに板ばさみ状態。
すぐ後ろにはキラ様。
それがハッキリわかるほど、首元にキラ様の息がかかる。
「キラ様……?」
どう反応していいのかわからない。
振り返るべきなのか、大人しくしてればいいのか。
どちらにしろ、私の心臓は爆発寸前なほどに高鳴っていた。
「はここにいないとダメだよ…?」
今度は耳もとで囁かれて…、キラ様の腕の中に閉じ込められてしまった。
華奢な身体のキラ様に後ろから回された腕は細いのに、ギュッと私を包み込むそれは、なんだか力強くて。
ひたすらキラ様の行動に戸惑うしかない私。