第14章 Master★【キラR18】
「……困った」
「?こんなところでどうしたんだ…?」
「…っ!?アスラ…っアレックス様!?」
突然背後から私の肩に触れたのはアスラン様。
あまりにも突然すぎて、大声で『アスラン』と呼びそうになってしまいましたよ。
「そんなに驚かなくても…。で、どうしたんだ?」
私のあまりの驚きぶりにショックを受けたのか、アスラン様は苦笑していた。
(誰だって、急に背後から肩叩かれたら驚くに決まってるのに…)
とはもちろん言いませんけどね。
「それが、キラ様の具合が良くないみたいで…。カガリ様に空き部屋を使っていいかお許しを貰おうと思って」
なのに、カガリ様が見つからないんです。
「…そうか」
ちゃんと事情を説明したら、アスラン様は妙に落ち着いていて…。
しばらく考え事をしているような素振りをみせてから、『わかった』と呟いた。
何が『わかった』のかはよくわからなかったけど。
「なら、俺がカガリに伝えておくよ。だからは早くキラのところに戻ったほうがいい」
「はい!本当にすみません…ありがとうございます!!」
(助かった…)
一刻も早くキラ様のところに戻りたかった私に、アスラン様の言葉は何よりもありがたかった。
アスラン様に一礼したあと、急いで引き返そうと回れ右。
スカートを翻しながら、メイドとは思えないほどの急ぎような私に…。
「っ!!」
アスラン様からの、ふいな呼びとめ。
思わず身体が前につんどめってしまう。
「はいっ!?」
「……頑張れよ?」
気まずそうな顔をしたアスラン様から出た言葉。
はっきり言って、その真意が掴めない。
なにを『頑張る』のでしょう?
『キラ様のお世話』とかってことですか…?
もしそうなら、もちろん私は…。
「お任せ下さい!!」
きっとアスラン様はキラ様の心配をしているんでしょうね。
だから私の勤めは、アスラン様達が心配しないようにキラ様をしっかりお世話すること。
満遍の笑みを浮かべてアスラン様に答えて、私は急ぎ足でキラ様のところに戻って行く。
本当は駆け出したいけど、それこそメイド失格ですからね…。
人にぶつからないように急ぎ足。
(でも…)
なんとなく…アスラン様の様子が違ってたような気がするのは…。
私の気のせい…だったのかな?