第14章 Master★【キラR18】
「そうだね…こういうとこは苦手だし…。それに、少し人酔いしたかな…」
周りを見渡すと、その人の多さに酔ったのか、キラ様は苦笑しながら肩をすくめてみせた。
(やっぱり…無理してたんですね…)
「それでは…すぐに空いてるお部屋に…」
「ありがとう…」
キラ様の身体を支えるように腕を掴むと、笑顔で私を見るキラ様。
それも嬉しいけど、呼び方が『君』から名前に戻っていたのが何よりも嬉しかった。
キラ様にとっては大して気にも留めないほどのささいなことかもしれないけど…私にはすごく重要なこと。
それだけでこんなにも胸が熱くなれるから―
「それでしたら、カガリ様にお許しを貰って参りますが…それまで待てますか?」
お屋敷にはたくさん客間があるし、何かあったときのためにお部屋は準備してたから、そこに案内すればいいんだけど、今この場を離れるのは…なんだか心配。
「大丈夫だよ…。ちゃんとここでを待ってるから」
なかなかそこから動けなかった私に、キラ様の言葉は私の背中を押すように優しくて…。
(私…やっぱりキラ様が好き……)
ほんの些細な言葉でも私の力になるんだもの。
だから、ずっとこのまま…。
『メイド』のままでも耐えられる。
「それではキラ様、すぐに戻りますから!!」
そう一言断ってから、急いでカガリ様を探しに行ったのはよかったけど…。
何故かどこにも見当たらなかった。
きっと…氏長様達だけで大事なお話でもされてるんでしょうね。
でも、それでは困る。困ります。
キラ様相手だから、特別にカガリ様のお許しを貰わなくても平気でしょうけど…そういうわけにもいきません。