第14章 Master★【キラR18】
「二人で何話してるの…?」
「キラっ!?」
「キラ様……」
振り返れば……キラ様の姿―。
きちんと正装でいらしていて…いつもとまた違って凛々しい姿が格好いい。
そのせいか、平然としてなくちゃいけないのに…どうしても胸が高鳴ってしまう。
(来てくださるなんて…)
昨日、あれだけ自分に言い聞かせた言葉が胸をよぎる分、嬉しくて…。
「キラ…来たんだな……」
アスラン様も嬉しそう。
先程までの暗い表情が嘘みたいに消えていて、キラ様の肩に手を置いて言葉を姿に、つい微笑んでしまった。
(早くカガリ様にお伝えしないと…)
「うん、たまには外の空気も吸いたいからさ…、それに、会いたい人がいるからね…」
「……」
『会いたい人』
カガリ様やアスラン様のことですよね…。
アスラン様にそう言ったキラ様が一瞬だけ私を見たのは…気のせいに決まってる。
(当たり前じゃない)
キラ様が私に会いにくるわけないよ。
ただのメイドなんかに…。
「それじゃ、俺はカガリのところに戻るから…」
「え、はい!!」
せっかくキラ様がお見えになったのに…。
お話しされないのですか?
(だって今キラ様が…)
『会いたい人がいる』って言ったばかりなのですよ?
呼び止める理由がない私にはどうすることも出来ず、アスラン様の遠ざかる背中を見つめるだけ。
「…またね、アスラン……」
アスラン様に笑って手を振るキラ様もその背中を見送るだけで…。
(アスラン様達に会いに来たのではないのですか?)
「あの…キラ様?」
「どうしたの…?」
一瞬聞きそうになったけど、躊躇ってしまった。
だって…今日のキラ様はいつもと違ったから。
いつも私がキラ様を呼んでも、私の目をちゃんと見てくださること…なかったから―
なのに、今は私のことを真っ直ぐ見てくれていて…。
私の言葉を待っているキラ様がいる。
「いえ…、こういう場所はお嫌いだと思いましたので…」
私は…来ていただけて嬉しいけど―。
どうにも調子が狂ってしまう。
むしろ、胸がざわつく…。
いつもと違う雰囲気に耐えられなくて、今度は私がキラ様から目を逸らしてしまった。
普段慣れていない分、なんだか見透かされそうで恐かったのかもしれない。