第14章 Master★【キラR18】
「それじゃあ明日は頼むぞ」
「はい……」
御休み前にカガリ様とほんの少しだけお話するのが私の日課。
カガリ様付きのメイドである私の特権で、唯一カガリ様の本音を聞けるのだ。
だから事情を全部知っている私がキラ様のお世話をすることになって…。
キラ様に惹かれてしまったのだ。
「なあ、…」
「はい?如何しましたか?」
ベッドに入り、首元までシーツにくるまったカガリ様がお部屋を出ようとしていた私を呼び止める。
とても真剣な顔で、思わずドキッとしてしまった。
「明日…キラは来てくれるだろうか?」
「……」
その言葉に、どうしても答えることが出来ない。
『キラ様は来ない』
そう思うから―
「最近なかなかキラに会う機会もないし…。もキラに来てほしいだろ?」
「え……っ?」
遠慮がちに聞いてくるカガリ様に、私はどう答えてよいのやら…。
(まさかバレてる…?)
いや、そんなはずはない。
カガリ様とこうしてお話しするときも、なるべくキラ様の話には触れてないし…。
「そうですね…。カガリ様が少しでもお元気になるのでしたら、是非ともキラ様には着て頂きたいです」
そうしてまた…自分の気持ちを押し込める。
その度に胸が痛くなるけど、それは仕方がないことだから―
「…そうだな」
「はい。ですからもう、おやすみになって下さいな。明日は色々と大変でしょうし…」
いつもは居心地がいいこの場所なのに、今は一刻も早くここから抜け出したくて…。
「…おやすみ」
「おやすみなさいませ」
カガリ様に挨拶をした後、私はお部屋から逃げるように自室へと戻った―
(キラ様が来るはずないのに…)
ベッドの中、何度もそう呟いては自分に言い聞かせ…。
『来てほしい』という気持ちを必死で押し殺す。
枕が涙で濡れる頃…私の意識は眠りに落ちていった…。