第12章 独占欲【黒シンR18】
「シン大丈夫かなぁ」
は早く整備を終わらせようと、手を速めていく。
「お、終わんない。やっぱり整備を後回しにすればよかった……」
は溜め息をつくと、目をこすった。
「整備を後回しにされるのは困るな」
「えっ!?」
突然、コックピットに顔を出してきたのは、セイバーのパイロット、アスラン・ザラだった。
「ザ、ザラ隊長!?あの……えと、そういうワケじゃなくて……」
ならどういうことだろう。
今の発言は間違いなく罰則もの。
どう言い訳をするか、焦るを尻目にアスランは口を開く。
「君は彼の恋人、なのか?」
「はい?えぇ!?こ、恋人ぉッ!?」
予想外の発言には言葉を詰まらせてしまう。
「さっきもシンの近くにいたし、違うのか?」
「ち、違います!ただの友達……です」
ただの友達。
は自分の言葉に胸を痛めた。
シンのこと、すごく好きだけど。
シンは私を見てはいない。
シンは別のもの、私なんかじゃなくて、もっと遠くの何かを見ているから。
の目に涙が滲む。
それを見たアスランはため息をつくと、に手を差し出す。
「わかった。整備は大体終わったみたいだし、後は俺がやるから君はシンのところに行ったほうがいい」
「え?」
「今のシンや君には、お互いが必要みたいだ。それに、シンは君が1番の理解者だと思ってるから」
「そ、そうですか?」
「君といるときのシンの顔は穏やかだ。だから、今は傍にいてやった方がいいのかもしれない」
そう言うアスランの顔は切なげだった。
今、アスランにとっての1番は傍にいない。いてやれない。
アスランは思いを遮るようにして首を振ると、を送り出した。
「あの・・・ありがとうございます!」
は笑顔でアスランに一礼すると、シンの部屋へと足早に向かっていった。