第7章 Black★Master【微黒アスラン×メイドR18】
「こちらが客間です。どうぞ」
ラクス様の言い付け通り、お屋敷の最南端にある客間に御案内しました。
具合の悪いアスラン様のためにベッドには氷枕も準備万端です。
「あの、アスラン様のお父上にはラクス様から『今夜はコチラにお泊りになる』とお伝えしております」
「ありがとう」
アスラン様は少し、神妙な面持ちです。
相当具合が悪いのかもしれません。
「それと、今夜は私がアスラン様のお世話をするよう申しつけられております」
「え……?」
そう言った瞬間に見せた、アスラン様の驚いたお顔。
やはり、私じゃ役不足ですよね。
確かに、半年しか勤めていない私が、大役を仰せつかったとは思いますが。
ラクス様の期待を裏切るわけにはいきません。
だから、このご命令を遵守しなくては。
そう一人で意気込んでたら、アスラン様が私の肩に手を置いてきました。
「ラクスは本当に気が効くね。それじゃ今夜はずっとがついててくれるのか」
「はい」
また、優しい笑顔を向けてくださるアスラン様。
思わず、その笑顔に見惚れてしまいます。
そんな時。
「……」
ふいに名前を呼ばれ、アスラン様を見上げると。
「あ……っ」
アスラン様の唇が、私のと重なってしまいました。
唇から温もりが伝わってきます。
「あのっ」
わけがわかりません。
戸惑うばかりの私に、アスラン様から与えられた最初の言いつけは。