第17章 そして僕らは※キラ夢
「……ごめん」
唇が離れると、の瞳は僕を見据えたまま、ただ黙っていた。
それが僕の罪悪感を掻きたてる。
「……」
沈黙が続き、やがて彼女は何もなかったかのように立ちあがると、服についた砂を払い落とした。
「私、もう戻るね」
そう言うとは背を向けて歩き出す。
さすがにどうしたらいいかわからず、彼女の後ろ姿を見ていた。
その刹那――
「え……!?」
その動きは閃光如く。
「ん……っ」
彼女は突如踵を返し、キラの胸元を掴むと、自らの唇を押し当てた。
何が起こっているかもわからぬまま、唇の温もりを感じるよりも先に感じたのは。
痛み。
「痛……っ」
彼女に唇を思い切り噛まれた。
そして、胸元を開放されると彼女は不敵に笑った。
「仕返しよっ!」
そう言うと同時には走り出していた。
「なんて……」
負けず嫌いなんだろうか。
唇に手を当てると、ほんの少し血が出ていた。
「僕もまた、仕返ししなきゃね」
また会える確証なんてないのに、そんなことを口走っていた。
また、会えるといいのに。
もうの姿は無く、彼女の余韻だけが身体に残っていた。
彼女の唇の温かさと、華奢な身体。
もう一度。が走っていった方を見ると、キラはホームへと歩き出した。
にもう一度会いたい。
だって僕は、彼女に恋してしまったから。
「きっとまた会える」
何故かそんな気がした。
そして僕はーー
その夜、僕はまたフリーダムに乗ることを決めた。