第17章 そして僕らは※キラ夢
キラがホームへと戻った頃、は浜辺からそう遠くない、岸壁ににいた。
誰にも見つからない場所。
ここは一目もなく、見つかっては困るものを隠すには丁度良い。
「ん……はっ」
思い切り走ったせいか、少し息が苦しい。
息を整えようと足を止めると、胸元の無線機に通信が入った。
慌てて耳もとにあてる。
『作戦は今夜決行だ。ただちにポイント07へ集合し、機体コード06アッシュに搭乗後、待機せよ』
「はい」
無線機から流れる上官の声に応えると、自分が走ってきた方を振り返る。
こんなにたくさん走ってきたのだ。
彼の姿など見えるはずがない。
「また……逢えるといいな」
彼の名前すら聞かなかった。
否、聞いていられる状況ではなかった。
自分は何てことをしでかしたのだろうか。
「……っ」
今更恥ずかしくなってくる。
「だって……」
大体、先にしでかしたのは相手の方だ。
自分は悪くない。
「……」
この作戦が終わったら、またここへ来よう。
彼に逢えるかもしれない。
きっとまた、彼に会える気がする。
そして私は、愛機に乗った。
……そして、僕らは。
fin