第3章 ストロベリーkiss【種DシンR15】
その頃シンは、コックピット内でうなっていた。
俺はうそつきだ。
本当は嬉しいのに、いつも反対の言葉をいってしまう。
が整備したあとのコックピット内は、が好きなイチゴチョコの匂いがする。
まるで、と一緒に乗っているみたいで勇気づけられる。
それなのに、俺はいつもに冷たい言葉を浴びせてしまう。
ヨウランなら、そんなこと言わないんだろうな。
俺より経験豊富そうだし。
レイなら、どうだろうか。
はレイの機体も整備してるから、レイにも嫉妬してしまう。
「レイも同じこと考えてたらどうしよ……」
シンはため息をついてボードを叩き込んだ。
「俺が何を考えてたらどうしたって?」
「レイ!?」
シンは慌ててコックピットから身を乗り出した。
「いつからそこにっ?」
「お前がため息つく前からだ。滅多に整備をしないお前が心配でな。声をかけたつもりだが、お前は気づいてなかったようだ」
レイは冷静に言葉を返す。
俺とは違って大人だ。
「で、俺がなんだ?さっきの事と関係が?」
シンは今すぐにでも話題を変えたかったが、レイがそうさせてくれない。
「えっと、その、が機体の整備したあと……」
シンは言葉を濁しつつ、レイに話す。
「イチゴの香りのことか?俺は気にしてない。むしろいいと思う。1人で戦っている気がしない」
やっぱり、レイものことが好きなんだ。
俺はレイにかなわない。
そう思ってシンは俯くが、レイはシンに意外な言葉をかけた。
「もう一度、のところへ行ってみるんだな」
「え?」
レイの意外な一言に、シンは固まってしまう。
「確かに俺は、シンと同じ事を考えている。だがお前と違って、俺はに悲しい顔をさせたくないし、そんな顔を見るのは辛い……」
レイは悲しい寂しげな表情でシンに言葉をかけ、その場から立ち去って行った。
「レイ……」