第17章 そして僕らは※キラ夢
『銀の鎖のペンダントなの』
彼女のためにペンダントを探し始めてから1時間。
浜辺にそれらしきものは見当たらない。
「海に流されちゃったかな?」
一応、波打ち際も見てみようか。
そう思って海へと目をやった瞬間、視界の隅で何かが光った。
「……?」
砂が少し盛り上ったそこに、目を凝らしながら近づいていく。
日差しを反射して光るそれに手を伸ばし、砂を払い落とした。
「これ……は!?」
手の中にあるそれは、彼女が持つのにふさわしくないものだった。
軍の認識票。
「・……」
これが彼女のものだとは思いたくはなかった。
それを強く握り締めると、キラは彼女の方へと歩き出した。
「……」
まだ彼女はそれを探していた。
必死に。
「……」
この名前が彼女の名前じゃなければよかったのに。
名前に反応した彼女はゆっくりとキラを見上げると、立ち上がった。
「探してたのはこれ?君は……」
「……ええ、そう」
それを彼女に差し出すと、彼女は両手でそれを受け取る。
「ごめん……私、ザフトなの。今はちょっと用があってオーブに来てて……」
「……そうなんだ」
どうしてみんな、戦っているんだろう。
どうして彼女は……軍にいるんだろう。
その瞳はもう、何人もの死を見てきたのだろうか。
そう考えるととても悲しかった。
彼女に……に戦ってほしくない。
だけど、彼女には彼女なりの理由があるんだ。