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あんなに一緒だったのに【ガンダム種D】R18

第17章 そして僕らは※キラ夢


視界に広がるのは、ただ寄せては返す波と、果てしなく続く蒼。
オーブの海を静かに見つめながら、キラはその場に立ち尽くしていた。

ずっとこの景色を見ているだけでいい。
このまま何もせずにいられたらいいのに。

僕はもう、何もしたくないんだ。

「僕は……」

空に手を伸ばし、空を掴む。
だが、その手に掴めるものは何も無い。
掴んだ手を胸元に当て、その手からこぼれた数多のものを思い返す。

「こんなにも……無力だ」

なにも掴めない。この先もずっと。

もう一度海に目をやると、踵を返し、ホームへと戻ろうとする。

「……?」

自分以外誰もいないと思っていた浜辺には、もう一人、少女がいた。

この辺りにまで人が来るのは珍しく、そして……様子がおかしい。
砂浜にかがんで、辺りを見渡しているのはまるで。

「……探し物かな?」

キラはゆっくりと少女に近づき、声を掛ける。

「ねぇ、どうしたの?」

その声に、少女がゆっくりと顔をあげた。

「……」

真紅――

彼女の顔を見た瞬間にそれが浮かんだ。

鮮やかな紅い瞳に、紅色の唇。
彼女の白い肌が、さらにそれらを引き立たせていた。
そして、その瞳は不安そうに揺れている。

「探し物があって……」

「探し物?」

彼女は諦めた顔をして俯き、小さく溜息をつく。

「とても大切なものなの。失くしたらちょっと……すごく困っちゃうの」

「そっか……」

この場で立ち去ることも出来たはずなのに。
何故か彼女のことが気になった。

もっと彼女といたいと……思った。

「僕も、一緒に探していいかな?」

「え……一緒に探してくれるの?」

彼女が驚いた顔で、僕の顔を見上げる。

「うん。大切なものなんでしょ?」

「ありがとう」

彼女の瞳から不安が消え、彼女は嬉しそうに微笑んだ。


そして僕は……
彼女に一目で恋をした――

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