第16章 ハーバルエッセンス【シンR18】
もやもやとしながら、色々と考えを巡らせながら部屋に戻ると、さらなる疑惑が彼に襲い掛かる。
「……ただいま」
扉のロックを開け、部屋に入ると、同室のレイがベッドに座って本を読んでいた。
「シンか……早かったな」
「あぁ……うん」
シンが溜め息をつきながら、シャワールームに向かおうとするが、室内に違和感のようものを感じた。
すごく不鮮明で曖昧。
だが、さっきも同じような違和感を感じた。
「レイ……?」
「なんだ?」
この違和感の正体
できれば知りたくはない。
「さっきまでさ、ここにが来てた?」
この違和感。
それは、の気配、残り香のようなものだ。
「が?今日は俺とお前以外に誰も来てないが……」
「…………そう」
レイはシンの話の意図がわからず、不思議そうに首を傾げる。
シンはレイの言葉に納得がいかず、黙ったまま、レイの隣に座る。
そして、その違和感の正体は、確信に変わった。
「レイ……っ」
何故。
何故、レイからの残り香がするのだろう。
「どうしたシン?昨日泊まったばかりなのに、もうが恋しいのか?」
レイの顔を見るが、彼はいつもと変わらない表情をしていた。
そんなレイに、シンは心が騒ぐ。
何故、そんな平然とした表情でいられるのだろうか、と。