第1章 はたけサクモ先生の葬式
サクモ先生の第一発見者は、たった一人の最愛の息子だった。
七歳のはたけカカシ君が、この世でたった一人の、血の繋がりをもつ父親を、任務完了後、自宅で独りきりで見つける。
その壮絶な状況は想像すら出来ない。
どれほどの闇をカカシ君が持ってしまったのか、考えるだけで心は凍りつく。
まだこの子は、生を受けて、たった七年しか生きていない。
涙を流し、悲しみを表現したいはずなのに、気丈にも一切、頬を濡らさず震え立っている。
カカシ君は、私の声に反応して顔だけ左を向くが、焦点は合わず、生気を感じない。
彼の気持ちが痛いほどに伝わり、私は堪らずに声をかけていた。
「はじめまして……ではないね、カカシ君はもう中忍だから、何回か私とアカデミーですれ違っているよね?」
ーーこんな子が一人で生きていけるわけがない。サクモ先生の血を引き継ぐ者ならば、必ず天才になるはずだ。
今、私が助けないと、カカシ君がダメになる。サクモ先生から受けた御恩を、ここで返さなければ、一生後悔をしてしまう。
そう熱く胸に決意を固め、独りきりの彼に声をかけるが、反応はない。それでも私はめげずに諦めない。
ーーカカシ君を助けたい、この子を救いたい。彼がこれから歩む人生の中で、私が、ほんの少しでもいい、役に立ちたい、そう強く心に秘めていた。