第20章 番外編 二十六歳の休日
「今日は一日誰もいないね。花奏さん……」
Tシャツに短いズボン、いつも外では必ずつける口布はなく、リラックスした姿で話しかけるカカシ君。
私に身体を向け、口もとを緩ませながら、寝室のドアの鍵には目を合わせないが、左手でゆっくり横に回す。
外に出る事も、誰も中に入る事を許さない、そう訴えるような重い金属音が、部屋の中に響く。
扉を施錠したカカシ君が、着替えようと服を脱ぎ、下着姿になった私に近づいてくる。
「……カカシ君?あ、私今着替え……っ!!」
カカシ君にとって、今、絶好の大チャンスらしい。彼は半眼で私を見て何かを訴えている。
瞬時に把握して、私は困り出す。
本日、カカシ君はお仕事がお休み。
長男は朝から下忍として任務に出発。
次男は忍術アカデミーで勉学に励み中。
私は朝から掃除、洗濯があり、さらに買い物、そしてお庭の手入れ、専業主婦だが意外と予定満載だ。
ふふっ、とカカシ君が笑う。
このニヤけた顔つき……
いつもよりも本気の顔だ、危険だ、目が危ない、と本能が私に警告音を鳴らしている。