第7章 こんぺーと
「...全く、あやつは俺の母親か」
愚痴りながら歩く信長。不意に袖を引っ張られ、下を見れば雪月がじっと見つめている。
「どうした雪月?」
「こんぺーと、あるよ」
「は?」
「あっち!」
雪月の指差す方向へ歩けば、辿り着いたのは天主へ続く廊下の一角。
「雪月、本当にあるのか?」
「あい」
雪月は信長の腕から抜け出すと、迷うことなく床板を1枚剥がした。
すると...
「あ」
ありましたよ。金平糖。(2回目)
「雪月、貴様何故」
「ましゃ、が、おしえてくえた!」
「ましゃ......?あぁ、政宗のことか」
ましゃ=政宗と信長が気づくまでおおよそ5秒。
「ましゃ、たまにこんぺーと、くえるの。ひでしゃんには、ないしょ、って」
(成る程...)
「良くやった雪月。流石俺の妹だ...,後で政宗にも礼でもしておくとするか」
雪月のお陰でまたまた金平糖が見つかり、上機嫌な信長。
しかし、ここにもオカン(笑)の魔の手が伸びてくる。
「信長様ぁぁぁぁぁぁ!」
またまたものすごい形相で廊下を走ってくる秀吉。
「雪月、逃げるぞ」
「ふぇ...?きゃっ!」
信長は雪月を抱き上げると猛ダッシュで逃走した。
「信長様、お待ちください!」
「だが断る!」
「何でわかったんですかぁ隠し場所!」
「政宗の情報だっ!」
「何?!」
急ブレーキをかけて止まった秀吉。
「早く奴を見つけないと、また隠し場所がバレるぞ!」
「な?!」
「行くぞ雪月!」
「あい!」
「あ、お待ちください信長様、雪月!だぁっ、くそっ!まぁさぁむぅねぇぇぇぇ!」
行き場の無い秀吉の怒りが爆発した。
その頃、政宗の私室では...
「へっくしっ!うぇぇ、さぶっ!」
「風邪ですか?政宗様?」
「いや、なんかゾッと来るものが...」
「何かやらかしたのがばれたんじゃないんですか?」
「何やったっけ俺...?」
「秀吉でも怒らせたか?」
政宗が秀吉に追っかけられてシバかれるまで、あと一時間。
そしてこの日から、信長に抱っこされる雪月と、どっかしらに傷を作った政宗、そして般若の形相の秀吉が城内で走り回る様が観られるようになったとか。