第7章 こんぺーと
「...信長様、何をしてらっしゃるのですか?」
(ギクッ!)
若干ドスの入った声に首だけ振り向けば、そこにはオカン...じゃなかった、般若の形相をした秀吉が。
「...秀吉か。何のようだ」
「何のようだじゃありません。あれほど金平糖の盗み食いは辞めてくださいと言った筈ですが」
「食いたいものを食いたいだけ食って何が悪い」
「虫歯にでもなられたらどうするのですか」
「俺はそのようなヘマはせん」
ヒートアップしていく秀吉と信長の口論。(最も熱が入ってるのは秀吉だけだが)
「あ、ひでしゃん!」
それを止めたのが、信長の腕の中にいた雪月だった。
「雪月?何でここに?」
可愛がってる妹分の登場に、秀吉も驚きを隠せない様子。
「にいしゃまが、こんぺーと、くれたの!」
秀吉の怒ってる意味が良くわかってない雪月は無邪気に笑っている。
ちなみに、ここ数日秀吉に世話されっぱなしだった雪月はすっかり彼になついていた。
「...信長様、雪月まで巻き込んで何をやっていらっしゃるのですか」
「貴様が何時も金平糖の隠し場所を変えるのが悪い。雪月のお陰ですぐ見つけられたがな」
自分は全く何も悪いと思ってない信長に、無邪気に笑う雪月。
秀吉は頭が痛くなってきた。
「兎に角、金平糖は没収です」
「何故だ」
「信長様は食べ過ぎです。それから、雪月だって病み上がりなんですからあまり連れ回さないでください」
「...全く、煩い猿だ。行くぞ雪月」
「あい。ひでしゃん、またね」
信長は渋々金平糖の袋を秀吉に渡すと、今度こそ厨を後にした。
「次は何処に隠すか...そういえば、彼処に隠した金平糖は見つかってないよな...?」