第5章 ぽけもん
「...ねぇ、一つ聞きたいんだけど」
家康が声をあげた。
「何でしょうか?」
「あの子が政宗さん達に連れられて俺の部屋に来たとき、『痛いことする部屋だ』って暴れかけたんだけど、何か心当たりある?」
「...恐らくですが、薬品の匂いを嫌がったのではないでしょうか?実験体だった女の子は様々な薬品を使われたと証言しているそうですし、ロコン達は嗅覚が発達してますから」
「...そう。ありがと」
(何だかんだ言って心配していたのかby光秀)
なんだかんだ言って、自分の部屋が暴力を受けた部屋と一緒だと言われたことが結構心にグサッと来ていたらしい。
家康が小さく安堵のため息を吐いたのは光秀しか知らない。
「後は、聞きたいこととかありますか?」
「...ならば、一ついいか」
声をあげたのは今までずっと黙っていた信長。
「何故、俺達に雪月のことを話した?いや、託した?俺達があやつに危害を加えるとは考えなかったのか?」
「考えませんでしたね」
佐助はキッパリと即答した。
「俺が知る安土城の皆さんは理由もなくあんな小さい子を傷つける訳無いですから。それに雪月ちゃんは、信長様の大切な『妹』でしょう?」
「!」
「ピカチュウ、行くぞ」
「ぴか!」
佐助は傍らにいたピカチュウをボールに戻すと立ち上がった。
「何か問題でもあったら狼煙でも上げて下さい。では、これにてドロン」
あっという間に佐助は天井裏へと消えた。