第5章 ぽけもん
IN広間
「御館様、雪月の様子は...?」
「先程寝たばかりだ。どうやら布団で寝たことすら無かったようだ」
先程と同じ顔ぶれが集まった広間。先程と違うのは雪月が居ないということだけだろうか。
「あの子の傷は早く見積もっても全治一ヶ月ってとこですね...骨折が無かったのは救いですが」
「あいつの話を聞く限り、暴行を加えていたのはおそらく親じゃない。つーか『親』の意味さえ知らなかった」
「親では無いとしても、あの娘の正体は何だ?」
「そう言えば、雪月様雪を降らせていましたね」
「あぁ...秀吉の真上になww」
「何だそれ、見てみたかったww」
「光秀に政宗、面白がるな、草を生やすな」
「メタい事言わないで下さい秀吉さん......で、信長様、あの子の正体、検討ついてるんですよね」
「あぁ」
家康の言葉に信長は頷くと、持っていた鉄扇を天井へと放り投げた。
かん!
「...佐助、居るのであろう」
しゅたっ
「...流石信長様。気配しっかり殺してたはずなんですが」
天井から飛び降りてきたのは、敵方の忍である筈の佐助。
「佐助?!何でお前がここに?!」
「落ち着け秀吉。俺はこやつに用があるのだ」
刀を抜きかけた秀吉を手で制する信長。
「...で、雪月ちゃんの正体ですよね?」
「...何でアンタがあの子の名前知ってるの」
「ずっと天井裏で聞いてましたから」
「「「...」」」
何か黙ってしまった安土の武将達。
彼らは思った。『だったら最初っから出てこいよ』と。
「話す前に、少し俺の生い立ちを話すことになりますが、よろしいでしょうか?」
「構わん。話せ」
「ありがとうございます...まず、俺はこの世界の人間ではありません」
「は...?」
目が点になる武将達。