第4章 きず
秀吉はそっと雪月の帯を緩めて背中をはだけさせた。
「...っ?!何だ、これ...」
「?!ひでぇ...」
雪月の背中は傷や痣だらけ。本当にあまり食べさせてもらえていなかったのだろう、背骨が浮き出ている。
「...家康のとこ行くぞ」
「あぁ」
二人は猛ダッシュで家康の元へ走った。
IN家康の部屋
「家康、居るか?!」
「うるさいですよ、秀吉さん。アンタあの子を連れてったn「それどころじゃねぇ!」は?」
「雪月を診てやってくれ」
政宗は抱っこしていた雪月を家康の前に降ろそうとした、が...
「い、やっ!」
「なっ?!」
突然先程まで大人しかった筈の雪月が暴れだした。
「おい、落ち着け雪月!」
「いやぁ!ここ、やだぁ、やめてぇ!」
「は...?」
「ごめ、なしゃぁい!いた、こと、しな、でぇ...!ぃやだぁぁ!」
「...仕方ない、許せ」
ドスッ
秀吉は錯乱状態の雪月の首に手刀を叩き込んだ。
「んで、何があったんですか?」
改めて家康が聞くと、秀吉は気を失っている雪月の背中を家康にも見えるようにした。
「...っ、酷い......この子、こんな怪我でずっと我慢してたの?」
家康も顔を歪めた。傷は背中だけでなく、腹や腕、脚と身体全体にあり、しかもその腕や脚は皮と骨しかないと言っても過言ではない程痩せ細っている。
「こいつの話だと、飯も満足に食わせてもらってなかったらしい」
「身体の傷も、恐らく日常的に与えられたものだ」
「...わかりました。で、信長様は知ってるんですか?」
「...恐らく知らないと思う」
「言っといたほうがいいと思いますよ」
「伝えてくる」
「んじゃ、俺は何か飯作ってくるわ」
「お願いします」
去って行く二人を見送るのもそこそこに、家康は雪月の治療を始めた。