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イケメン戦国 ~天下人の妹になる気はないか~

第3章 さいかい


人目の付かないところまで来ると、佐助は少女をおろした。

「良かった、無事だったんだね」

少女は佐助の足にしがみついたまま離れない。が、その身体が震えているのを見て、佐助は少女に目線を合わせるようにその場にしゃがんだ。

「俺は佐助。ニッポン地方出身の研究員だ」

佐助は静かな声で話し始めた。

ここは元々自分達のいた世界ではないということ、この世界にはポケモンがいないこと、自分は今から四年前にこの世界に飛ばされたこと、今は『猿飛佐助』と名乗っていること、先程の三人組は自分の仲間であり、自分の素性も知っているということ、そして、帰る手段はまだ見つからないということを。

「何故君があの時追われていたのかは知らない。でも、君が何者であっても、俺は君の味方だから...?!」

何かを感じ取った佐助はその場に立ち上がった。

「残念だけどここまでみたいだ」
「ぇ...?」
「出来ることなら君と一緒にいた方がいいんだろうけど、俺達の元だと色々危険がつきまとう。信長公のところにいた方が安全だ」
「でも...」
「大丈夫。また会いに行くから。約束、だよ」

そう言って、佐助は暗い夜の森に消えた。そして直ぐに聞こえてくるのは、

「おーい、どこ行った~?」

誰かを探す、何処かで聞いた声。振り返ると、そこには馬に跨がった秀吉と、見知らぬ眼帯の男性。

「お、こいつか?」

眼帯の男性は少女の容姿に一つしかない目を丸くさせた。

「信長様がお呼びだ。来い」
「っ、やっ...!」

秀吉のことを完全に敵認定しているのか、少女は近寄ろうともしない。むしろ後ずさっている。

「嫌われたな秀吉」
「うるさいぞ政宗。じゃあお前がやってみろよ」
「おう」

政宗と呼ばれた男性が取り出したのは、色とりどりの小さな砂糖菓子。

「お前、それどこで見つけたんだ...?」
「これか?安土城の厨」
「お前いつの間に...」

呆れる秀吉をよそに、政宗は菓子を乗せた手を少女の方に伸ばした。
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