第19章 動揺
先生が保護者…。
それであの懐きようはなるほど理解できる。
複雑な家庭事情で寮に入ることになった、とは聞いたが、身内ならそうなるかもしれない。
「微塵も似てないな」
綺麗な顔立ちに色素の少し薄い髪肌などを見ていると、とてもあの面倒臭がりと親類だとは思えない。
寝息が普通の肺呼吸に変化したのが、なんとなくわかった。
起きたのだろう。
最後の一粒を口に入れて噛みきってから、改めて名前を呼んでみる。
「…」
「先生…っ!」
「っ!!!!」
点滴をしたままなのに、彼女はその細い腕を自分に回してくる。
正直、めちゃくちゃ、動揺した。
「先生、会いたかったです…」
「…」
親類、とは思えないくらいのその切ない言葉が引っかかる。
先生呼びなのも、不思議だ。
そういう関係だけじゃなさそうだと一瞬でわかった。
とりあえず、これ以上は居たたまれないので、誤解をとくことから始めよう。
「その、俺…なんだけど…」
「……」