第18章 もっとたくさん
「え、え、えっと、轟くん…だよね?」
「……うん」
やってしまった。
朦朧としていた頭が、すっきり覚めていく。
冷静に冷静に、と繰り返すが、言い訳のしようのないこの状態に、言い訳なんか出来るわけがない。
(私、馬鹿だ……)
「とりあえず、離れてくれるか?」
「ごっ!!!!ごめんね………」
慌てすぎて思いっきり舌を噛んだ。
あらゆる意味で涙目になっているのに、彼は心配してくれるだけだった。
いい人だ…いい人で、よかった……。
「あの、こんな図々しいお願いするの、最低だと思うんだけど……内緒にしてくれる…?」
「…まぁ……いいよ」
「ほんとに!?ごめんね!ごめんね!」
「別にそこまで興味はないけど。
先生とそういう関係?」
「ち!!!違うよ、断じて!!!」
力強く否定してしまって、余計に疑われそうだ…。
そんなつもりではないのだけど。
私の、重たすぎる片思いなだけだし。
迷惑って遠回しに言われたし。
こんなに体調悪くても、来てくれるわけじゃないし。
泣けてくる。
いつも優しいのだって、助けてくれた同情で。
いつも触ってくれるのだって、勉強のためで。
私が好きだと言うと笑ってくれるのは、からかってるだけで。
改めて私は一人だということを認識するしかない。