第17章 あいたい
本当はこんなことは、あってはならないと思う。
大人の作った勝手な都合で苦しむ私と、
そんなの、ゆうに上回る恋しさ。
カーテンの開く音がする。
「…」
私をそう呼ぶのはその人しかいないから、そうした。
「先生…っ!!」
恋しさが上回ってしまって、思いっきり抱き付く。
血管の中の針が少し動いてしまって痛かったけど、気にならない。
「…っ!!!!」
意識があまりに朦朧としている。
「先生、会いたかったです…」
「……」
いつもと違う服のさわり心地を不思議に思ったところで、手遅れだった。
「その、俺…なんだけど…」
私も、名前しか知らないその子、轟くんだった。