第16章 やっぱり、
「お前」
「は、はい…」
お部屋から出たら、一人の男の子がいた。
今朝見た嫌な夢を不意に思い出す。
それが、昔のことだった気がする。
「相澤先生どこ行ったか知らないか?」
「…知らない、です」
「そうか…」
火傷の痕が印象的な子だった。
「いつも一緒だった気がした」
「…っ!」
私は動揺のあまり、口を開けたまま固まってしまった。
学校では気を付けていたつもりだったんだけど、そんなに…?と思い返していく。
胃がきしきしと痛い。
「授業遅れてるし、す、凄く面倒見て貰ってるからかな!?」
誤魔化すようになんとか事実を捻り出したけど、彼の目は、何もかも見透かしそうな程綺麗で、少し、怖い。
「そうか」
どうやら納得してくれたらしい。
そもそも、怪しまれてはいないみたい。
ほっと、肩を撫で下ろす。
それじゃ、とそつのない挨拶をして、慌てて自室に戻る。
「………びっくりした……」
ドアを閉めた瞬間に、座り込んだ。
「……私、何しに外行ったんだっけ……」
自分の馬鹿さ加減に情けなくなった。