第14章 うぬぼれ
「苦しいのか?」
珍しく、少し心配されて意外だった。
慌てて首を横に振って、違うと言いたかった。
声には、ならなかったけど。
「はぁ、あっ、せ……すき…っ」
結局いつもの言葉しか言えなかった。
先生は、いつもより笑っていた気がした。
私が幸せすぎて、そう思い込んだのかもしれない。
「せんせえ、あっ、私…こんなに、す、好きなんです…っ!」
揺さぶられながら奥を突かれながら、震える声を押さえてなんとか伝えたい。
「でも、間違ってるかも、って…っ!
だって、あっ、ああ!わたしは、ただの、たすけられただけの、だからぁっ!」
「何が言いたい」
「…っ、わたし、同情だけで、繋がってもらえてる?」
上手く言えないんだけど、もし的確な言葉を選ぶなら。
「次そんなこと思ったんなら、全裸で雪の中に投げてやるからな」
先生は、かなりムッとして怒っていた。
否定してくれてるみたいで、凄く嬉しくて。
でも、自惚れていいのかとちょっと思って。
「すき、好きです…っ」
何百回言ったか忘れた言葉をまた言う。
それを、全部飲み込まれるような深いキス。
心音が激しくなって止まない。
信じてしまいそうで、怖い。
だって、裏切られても何をされても、私には先生しかいないから。