第14章 うぬぼれ
登校3日目、会議室に呼び出された。
一ヶ月の密室における監視生活での報告書を渡される。
個性の所には、やはり無と書かれている。
「……なし?」
「今のところは」
先生はそれに対していくつか補足してくれた。
「思い出さないようにされている可能性、抜き取られている可能性、もしくは、潜在していて常に発動している可能性」
指を折りながら説明してくれる。
けど、私にそんな力があるようにはとても思えない。
「結局、あの売人は、お前の個性については何も話さなかった。
わからず終いということだ」
「……」
「知らなくていいことも世の中には沢山ある。
そのうちの一つだと思った方がいい」
「…はい」
「で、次は本題」
「……ふぁ?」
「期末考査がもうすぐだな。
遅れを取った一か月分、プラス今までの分。
あと十五日、どこまで詰め込めるか」
「…!!!!」
先生はにやりと笑いながら、大量の本を背の低いテーブルに置いた。
それと、心ばかりの、可愛い猫柄の文房具…。
「追試にならなかったら、特別報酬だ」
「とく、べつ…?」
「期間限定、六時間並んでも買えないあのパティシエのクリスマスケーキだ」
「…っ!」
前にテレビで観た、ふわとろを思い出す。
絶対、美味しい…!
「死ぬ気で、がんばりますっ!」
「スパルタ授業再開だな」
ちょっと、寒気のする言い方だったけど、今までと同じように接してくれる先生の気持ちが、どこか嬉しくもあった。