第10章 からかってるんですか
マラソン大会、という程でもないけど、涼しいからと校外一周するという体育の授業。
そういえば、この体になってからあまり走ったことがないな、と思って、なんとなく参加してしまった。
これが、大失敗だった。
「…は、はぁ…」
ビリどころじゃない。
まだ数百メートルしか走っていないのに、私の身体はもう倒れそうだった。
そのまま前のめりになると、あっさり保健室に運ばれた。
「酸素を運ぶ血液がずいぶん少ないねえ」
保健室の先生は、私の様態を見てそう呟いた。
「そ…そうなんですか…」
「あんまり無理な運動するんじゃないよ、死ぬよ」
「……」
「多分、その首の継ぎ目が原因だと思うんだけど、ねえ?」
改めて、自分の身体じゃないかもしれない、という認識が強まった。
作られた身体…、その可能性は、全く否定出来ない。
「生理が来たら死ぬね。
そん時は一回来なさい、輸血してあげるから」
(ゆ、輸血…!?)
そんなのが必要な程なのかと驚いた。
書類を一枚書くように指示され、名前とクラスを書いた。
「あと」
「は、はい…」
「セックスは程ほどにしときな。
思春期だからね、止めはしないけど」
「!!!」
あまりの恥ずかしさにベッドに顔を埋めてしまった。
先生とのそれを思い出して、耳まで熱かった。